保健福祉部に狂牛病の検査体制の強化を申し入れを行いました。

内容
1 県民の不安を解消するために、検査体制の万全を期す必要があること。
  (検査室の狭さの解消、狂牛病検査員の強化、人手不足によるヒューマンエラーの排除等)
2 と畜検査員の代替措置が困難なので人員強化を図ること。
  (産休、育休、年次休暇等取得がし易いような人員配置をすること。)
3 来年度、水沢食肉検査所所管のと畜場の廃止に伴い、新検査体制の提案を行った。
  (紫波食肉検査所で全県をカバーするのは労働条件等からいっても難しい。)
4 今後、職場環境の改善等について協議していくこと。

出席者
当局対応者    保健福祉企画室長
            保健衛生課長
            管理主幹
            保健衛生課長補佐
県職労本部    野中副委員長、前川書記長
保健所協議会   大内会長、久慈副会長、及川副会長、幹事
            食肉検査所分会長

(新と畜検査体制の提案)

狂牛病問題への対応について

 狂牛病発生前の経過

 平成8年の一連のO−157による食中毒事件を踏まえ、食肉に起因する食中毒を防止するための抜本的対策として、と畜場に対して衛生管理について法的義務を課すため、HACCPの考え方を導入した政令及び省令が改正され、衛生管理の徹底を図ることとなり、牛の処理施設は平成12年4月1日から、豚の処理施設は平成14年4月1日から完全施行されることになった。
 このため、滑竡闥{産流通センターでは、牛の処理施設を平成12年3月に、豚の処理施設を13年6月に大幅に改築した。このとにより従来に比べ検査場所が増加するとともに、検査員の貼り付け場所も増加した。
なお、現場検査に加え庶務、残留抗菌性物質検査、精密検査(病理,理化学、微生物)及び調査研究業務を実施するとともに、食肉・食鳥肉処理場などの衛生管理検査、立入検査等の業務さらに残留有害物質 モニタリング検査を実施してきたが、検査員の貼り付け場所が増加したことによりこれら現場検査及び庶務以外の業務は、実施不可能な状況であった。

新施設の処理頭数及び検査員数 旧施設の処理頭数、検査員数
牛検査   130頭/1日処理  5名    90頭/1日処理  3名
豚検査  1200頭/1日処理  7名   900頭/1日処理  5名
病畜検査    30頭/1日処理  2名    30頭/1目処理  2名
衛生管理など                2名                2名
必要職員数 16名 12名
職員数 14名 14名

BSE検査開始後の状況
 平成13年9月10日、日本での狂牛病の発生が確認されたことによりと畜場で処理される全ての牛について、10月18財ヽらBSE検査が実施されることになり保健所等からの応援を得て検査を開始し、11月1日に検査員2名の増員となった。
 しかしながら2名増であっても検査員が不足しており現場検査、BSE検査等に大きな負担となっている。食肉の安全性の確保はもとよりBS玉:検査の信頼性及び確実性の確保並びにと畜検査員の感染防止、安全確保のためにも、と畜検査員の増員が必要である。

11/8以降の配置 11/7以前の配置 絶対に必要な人員
牛検査 5名 5名 5名
(BSE検体採取) 1名 2名 2名
豚検査 5名 5名 7名
病畜検査 2名 2名 2名
(BSE検体採取) 0名 1名 2名
BSE精密検査 3名 3名 3名
衛生管理など 0名 0名 2名
検査対応人数 16名 18名(16+2) 23名+2名
不足人員 9名 7名 *2名は所長、次長

問題点

1 BSE検査開始以前に処理施設の大幅変更があり、検査場所が増加したことによる検査員の配置数も増加したことにより、それまで実施してきた衛生管理検査等の業務を実施する場合は、現場検査要員を削って対応してきた。
2 BSE検査開始により、食肉の安全性確保及び検査の信頼性確保並びに検査従事者の感染防止対策の上からも、専任の精密検査要員及び検査材料採材者が必要であるが検査員の増員は2名だけであり、衛生管理検査等の業務及び有害残留物質モニタリング検査業務を停止してBSE検査を含め、現場対応をしている。
3 BSE精密検査室に現在3名が専従で作業を実施しているが、作業空間が狭小であり非能率的である。
4 牛の処理頭数の上限が1日130頭及び病畜15頭であり合計145頭の検査を実施する場合は、検査開始後早くて10時間後となり、1次検査結果が翌日の午前2時となり、擬陽性の場合更に10時間後の判定になることから現状の精密検査体制では対応不可能である。
5 会議出席、年次休暇取得が不可能に近い状況である。
改善策
 @ 2及び5について
   検査員の増員  9名
 A 4について
   検査機器設備の増設及びBSE精密検査体制の複数化

BSE検査開始による超過勤務の実態
@ 検査開始当初から10月末までは、全てが手探りの状態であり検査結果が判明する21時頃まで、ほぼ全員が毎日残業をしていた.2回目の判定では25時30分まで残業を行った。
A 11月1日以降、BSE精密担当者の勤務時間を12時から21時迄とした体制を組んでいるが、現実には、10時30分頃出勤し検査の準備をしている状況である。
 また、検査結果の連絡要員として毎日声名が残業を行っている。

感染防止対策について
 感染防止対策については、現在のところ特に問題は生じていない。

BSE検査及びそれ以外の業務にかかる人員に確保について
@ BSE検査関連で現場での検体採材要員として一般畜に2名、病畜に2名の検査員が必要であるが、現在は3名不足している。
A 上記以外の業務にかかる人員については、豚検査に2名、衛生管理検査等の食肉・食鳥肉の安全確保対策事業に2名の合計4名が不足している。

食肉衛生検査所のあるべき姿

 平成8年の一連のO−157による食中毒事件を踏まえ、食肉に起因する食中毒を防止するための抜本的対策として、と畜場に対して衛生管理について法的義務を課すため、VACCPの考え方を導入した政令及び省令が改正され、衛生管理の徹底を図ることとなり、牛の処理施設は平成12年4月1日から、豚の処理施設は平成14年4月1日から完全施行されることになった。
 これ受けて、改正と畜場法に適合した処理施設のみが平成14年4月1日以降も営業出来ることとなるが、現段階で営業を続行する意思を示し或いは、設備を改善し適合施設となった処理場は、滑竡闥{産流通センターと久慈広域食肉処理場の2処理場であり、現在可動中の食肉処理場は、休止又は廃止される状況にあり、水沢食肉衛生検査所が閉所されることも考えられる。
 なお、2処理場の処理規模及び検査ラインが大幅に変更され検査員の配置場所も増加することになることから、両処理場への検査員の配置増が必要になる。
 また、水沢食肉衛生検査所管内の食鳥処理場に対する衛生管理検査等の食鳥肉の安全確保対策事業が残ることから紫波食肉衛生検査所で管轄することも予想され、県内の食肉・食鳥肉の安全確保対策事業を紫波食肉衛生検査所で実施することも予想されるが、県内全てをカバーするには広大過ぎることから、管轄区域の見直しを図り次のような職員の配置が望ましいと思われる。

紫波 久慈
業務内容牛検査 検査頭数 人員配置 検査頭数 人員配置
牛検査 130頭 5名
豚検査 1200頭 7名 350頭 4名
病畜検査 30頭 2名
BSE検査(2班体制) 10名
衛生管理検査等 県央、県南 2名 県北、沿岸 2名
庶務 1名
管理(所長、次長) 2名 1名
食鳥検査 3名
職員数 33名 7名

BSE検査(2班体制)10名の内訳 精密検査 3名×2班+採材4名